今年は花粉の量が去年の20倍だとか、30倍だとかいわれています。
戦々恐々としておられる方も、もうすでに目がかゆく、鼻がムズムズなさっている方もおられることでしょう。
マスク、サングラス、帽子や、いろいろなお茶、ヨーグルト、サプリメント、といった対策を講じておられる方も多いことと思います。
あの鼻水や目の痒みには全く閉口させられますね。
東洋医学では花粉症は胃腸と関連しています。
多くは胃腸の冷えからきているようです。
そのため花粉症を楽にやり過ごすには次のことにお気をつけ下さい。
●食べ過ぎないこと。
●甘い物(特に白砂糖)を食べないこと。
●冷たい物を飲食しないこと。
●運動して、身体をあたためること。
●ストレスをためないこと。
無理に鼻水や涙を押さえ込むと喘息や皮膚炎を悪化させることも、珍しくないようです。ご注意下さい。
健康な体作りをかねて、鍼灸療法がおすすめですよ。
また、次のツボを温めたりさすったりすると少し楽になりますよ。
姿勢について考えてみたいと思います。
日々の生活の中で、良い姿勢というのは、登山のときの登山靴のように大切なものだと思います。
しかし、普段、姿勢を意識することは少ないようです。
私自身姿勢を意識することは少なかったのですが、鍼灸師になってからはよく意識するようになりました。
じつは鍼をする時に姿勢を正すことはとても大切で、その姿勢によって、鍼の効き方も異なってくるのです。
もっともこうしたことは他の分野にもいえることでしょう。
ピアニストは姿勢を変えれば音が変るといいます。
大工がカンナをかけるときも、美容師が髪を切るときも姿勢が大切だそうです。
もっと言えば、勉強をするとき、パソコンをたたくとき、ひとと話をするときも姿勢を正せばいろいろと結果が変ってくるのでしょうね。
それにしても「姿勢」というのはうまい表現ですね。
勢いとは言いえて妙だと思います。
皆さんもひとの姿勢から、意気込みや、気持ちを推察なさっておられるのでしょう。
姿勢にはそのひとの何か勢いのようなものがあらわれるのでしょうね。
ではよい姿勢というのはどんな姿勢なのでしょうか。
よい姿勢というと胸を張り背中をそらした姿勢をイメージし、全身に力の入る方が多いようです。
しかし、よい姿勢というのは、むだな力が抜けてリラックスできる姿勢です。
力は抜けているけれど、だらりとはしていない姿勢です。
ですから、姿勢を正すときはひたすら力を抜いていくことから考えればいいのです。
こういえば簡単そうですが、この力を抜くということがとっても難しいのですね。
さて、中国の気功では「上虚下実」といいます。
上半身の力を抜いて、虚しくし、下半身を充実させることをいいます。
この下半身、もっと絞っていえば腰が、全身の力を抜くポイントのようです。
森信三さんは「立腰」ということを提唱なさっておられます。
「腰骨を立てる」ともおっしゃっておられますが、ポイントとして次の三点をあげておられます。
1.尻を思いっきり後ろに突き出すこと
2.反対に腰骨をウンと前へ突き出す
3.そして下腹に力を入れると、肩のキバリがスカッととれる
この「腰骨を立てる」「立腰」というのが姿をただすうえでもっともシンプルなアプローチだと思えます。
中村天風さんが「肛門を閉める。と同時に、臍下丹田に気力を込め、肩の力も抜く。」とおっしゃられているのも同じことでしょう。
こうして腰に意識をおくことで力を抜いていくことができるようになるのです。
こうして力を抜いていって、大工が柱を立てるときに用いる、糸の先に錘をつけたいわゆる「フリサゲ」のように、重みでからだの垂直線が定まるのが理想的です。
このようなよい姿勢をつくるには運動(体操)や呼吸を工夫していくことが大切なようです。
一生工夫が必要なのでしょうね。
今回は運動(体操)について書いてみたいと思います。
健康に暮らす上で身体を動かすことが大切だということに異論はないでしょう。
皆様が運動は必要だ、と考えておられることと思います。
しかし、なかなか運動できない、長続きしないとおっしゃる方が多くおられます。
この理由のひとつに運動にたいする考え方が影響しているように思われます。
皆様は運動に関して、「身体を鍛えよう」とか「筋肉をつけなければ」と考えてはおられないでしょうか。
もちろん、そのような点も運動することの功徳です。
しかし、運動することの意味はそれだけではありません。
健康のための運動ならば、他にもっと大切な意義があります。
それは「身体の力を抜いていく」「リラックスする」ということです。
野口体操の創始者、野口三千三さんは「体操は自分でやるマッサージ、マッサージは人にやってもらう体操」とおっしゃっておられます。
まさにそのとおりで、放っておくと硬く縮こまってしまう身体を、ほぐしてのびやかにすることが身体を動かすもっとも大切な意味だと思います。
こうした目的で運動するときは、楽にらくうーにきもちよーく動きましょう。
またまた野口三千三さんの言葉ですが、「生きている人間のからだ、それは皮膚という生きた袋の中に、液体的なものがいっぱい入っていて、その中に骨も内臓も浮かんでいるのだ」というイメージが私は大好きです。
こんなイメージで身体の液体をゆらゆら揺らすように身体を動かすと気持ちいいですよ。
さて、そんなふうに身体を動かせる運動をひとつご紹介します。
それは気功の世界で「スワイショウ」といわれているものです。
とても簡単で、ただ手をぶらぶらさせるだけの運動です。
やりかたとしては、
1.両足を肩幅に開いて足先は閉口に立ちます。
2.膝は少しゆるめで、リラックスします。
背骨は頭のてっぺんから吊り下げられている気分でまっすぐにします。
3.手のひらを内側にして、両手をそろえて前後に振ります。
4.できるだけ腕に力がはいらないよう、重さを感じながら、自然な振り子運動にまかせます。
というものです。これを繰り返し行います。難しく考えずに気楽に行って見て下さい。
15分~20分程おこないますと千回前後手を振ることになります。
べつに教えることはないのですが、そのぐらいをひとつの目安にするといいと思います。
コツとしては後ろに引くときは少し意識して引き、前に振るときは自然にまかせることです。
また、膝をゆるめて立つ感じがわかりにくければ、1度力を入れて膝をつっぱってから、力を抜きゆるめてみてください。
自分男身体の中の液体の揺れ、内臓の揺れ重力を感じながらぶらぶらさせていると、とっても気持ちいいですよ。
身体がぽかぽかしてきます。また、単純な繰り返し運動ですので、頭の休息にもなります。
船井総研の船井幸雄さんもこの運動を毎朝、テレビを見ながらしていると御著書にお書きです。
それによると、この運動をはじめてから、視力が0.1ぐらいから0.8まで回復されたそうです。すごいですね。
テレビを見ながらでも、音楽を聴きながらでも、また屋外でも、屋内でも簡単にできる運動です。
是非一度お試しください。
今年は5月5日が立夏でした。
えらいもので立夏を過ぎると、山も木々も一段とみどりが濃くなります。
万緑という季語がそのまま目の前にくりひろげられています。
こういった風景を見ていますと、植物たちの命が四季のめぐりに応じてダイナミックに変化していることにすこし感動してしまいます。
もっとも、こうして四季に応じて変化しているのは決して植物だけではありません。
動物も、もちろん人間も変化しています。
日々臨床で脉(みゃく)を診ていると、皆様の脉(みゃく)が夏の脉(みゃく)に変化しているのがよくわかります。
こうした変化はひとによって多少ずれもあるようです。
また、うまく適応していけなくて体調をこわす方もおられます。
でもそうしながらも身体は夏に切り替わっていくのです。
さて、夏の身体の特徴は活動的になることです。
もうすこしくわしく言うと、心臓の動きが活発になり、腎臓の動きがゆっくりになります。
このため、心臓の弱い方は無理をなさらないようにすることが大事です。
また、汗をかくことで腎臓を休ませてあげることも大切です。
冷房の中にばかりいて、身体を冷やし、汗をかかないと、腎臓を酷使してしまいます。
そうすると、腎臓の活動的になるべき冬に体調をこわすこともにもなりがちです。
それからもうひとつ注意することは、汗をかいたあとに冷たい風にあたらないことです。
これは身体を冷やしますし、風邪をひきやすいので気をつけましょう。
夏の活動的な身体には、遅寝早起きがあっています。
日照時間とあっていますね。比較的短い睡眠でもつようです。
そのぶん冬によく寝ておきなさいということでしょういい夏にしたいですね。
夏の過ごし方のまとめ
・汗をかくこと
・汗をかいた後、冷たい風にあたらないこと
・遅寝早起き
・心臓の弱い方は無理をしないこと
もちろん汗をかいた後は水分と塩分をおぎないましょう。
こうした夏は比較的やせやすい時期でもあります。
さて、暮らしの手手帖別冊で、「体重計でダイエット」という本がでました。
これは流石は「暮らしの手帖社」というべきまっとうな本です。
このなかの「体重計ダイエット」3箇条を書き抜くと、
「体重計ダイエット」3箇条
1..朝と晩の体重を測りグラフにつける
2..朝と晩の体重差を600グラム以内にするように努める
3.1日8000歩以上歩く
というものです。
「自己評価、自己管理のダイエット」と書いていますが、その通りの内容です。
以前からダイエットのひとつのコツは毎日体重を測ることだと考えていましたが、朝晩に測りその差を管理していくというのは目からウロコでした。
興味のある方は是非お読み下さい。
この比較的やせやすい夏の時期から、毎日体重を測ることだけでも始められればいかがでしょうか。
ひとつの身体の自己管理になりますよ。
「眼が疲れる」とおっしゃる方がたくさんおられます。
今の世の中、パソコンやテレビ、書物や新聞等の影響で、眼を酷使する傾向にあるのでしょう。
ところで、「疲れ目」と『眼精疲労』とは別物だそうです。
皆様はご存知でしたでしようか。
眼科医の坪井隆先生によりますと、『「疲れ目」の医字用語は「眼疲労」であり、症状が目だけにとどまり、しばらく目をやすめれば回復するもの」を いうそうです。
「それに対して眼精疲労は、日を休めてもなかなか回復しないがんこな病気であるとともに、全身にもさまざまな症状を起こす』とおっしゃっています。
眼精疲労の症状としては、
「光がまぶしい、日がチカチカする、目がかすむ、目の奥が痛む、目がかゆい、 まばたきがふえる、まぶたがピクピクする、 同が乾いて痛む(ドライアイ)、 目の充血と周囲の腫れ」などであり、やがて、
「肩こり、頭痛・頭重、全身倦怠感、集中力や持続力の低下、 食欲不振、吐きけ、 不眠、イライラ、うつ」などの全身の症状か出てきます。
ついでですが「眼精疲労の患者が眼科を訪れても、多くの場合、実のある治療は受けられないのが現状です。」ともお書きです。
ちなみに、当治療室には「目がチカチカする、 目の奥が痛む、まぷたがピクピクする」と訴えられる方がたくさんおみえになり、大変喜んでいただいております。
話しを戻しますが、このように休めれば回復するものを「眼疲労」といい、休めても回復していかない、全身に症状のあるものを「眼精疲労」というようです。
では、なぜやすめても回復していかないのでしょうか。
答えは簡単です。全身的にバランスを崩していて、自然治癒カがきちんと働かない状態になっているからです。
だから全身的にも症状がでてくるのです。
このあたりのことを、やはり眼科医の山口康三先生は次のようにお書きです。
「過食や栄養過多の食生活、運動不足、過剰なストレスなどによって血液がドロドロになれば、目の血液の循環も、当然、悪くなります。血液の循環が悪くなれば、酸素や栄養が十分に行き渡らず、毒素や老廃物か回収されません。これでは、目は健康を維持することはできないでしょう」と。
そのうえで、「目の難病の多くは、偏った生活習慣によって発症する、生活習慣病だと考えています。
生活習慣病は、いわぱ全身病です。
たまたまその人の体のなかで、目に異常が現れただけであってその背景には全身の異常があると考えられるのです。」とおっしやっています。
このように目の症状にも全身のバランスを調えていくことが大切なのです。
もうひとつ頭に置いておきたいのは、目の調節は筋肉が行なっているということです。
目に入る光の調節は虹彩にある筋肉が、遠近の視力の腕節は毛様体にある筋肉が水晶体の厚さを変えて行なっています。
皆様もご存知のように、筋肉というのは使わなければ硬くなってしまいます。
この場合の筋肉を使うとは、虹彩の筋肉の場合は明るいところと暗いところを交互に見ること、毛様体の筋肉の場合は遠いところと近いところを交互に見ることをいいます。
こうした運動をすることが日には大切です。
振り返ってみてください。現代では、暗闇を目を凝らして見ることがあまりないでしょうし、遠方を見ることもあまりなくなっているでしょう。
これが目の筋肉の運動不足を招いているのです。
さて、東洋医学の眼の治療では、血液を増やし、 血流をよくすることに主眼を置いています。
これは先の山口先生の意見とも一致します。
また、筋肉を正常に働かせるにはたっぷりの血液が必要なのです。
皆様も血行がよくなるように、ご自分でケアをなさると、目にもよく、肩凝りもなく(楽に)すごせると思いますよ。
・眼球運動
上下、左右、右回り、左回りに眼球を数回動かす。
・遠近トレーニング
遠くを見るのと近くを見るのを繰り返す。
たとえば、遠くの山の一点を10秒みつめてから、目から20センチ程離した指先を10秒見てみる。
これを2、3回操り返す。
・目のマッサージ
1. まず両手を(力を抜いてすぱやく、30回ほど)こすり合わせます。
するとあたたかくなり、ボワーッとし た感覚が生まれます。
2. その両手を目にあてて、あたたかさを感じます。
日の奥にまであたたかさがしみこんでいくのをイメージしましょう。
(ただし、眼球を圧迫してはいけません。)
3. 図のツボを意識しながら目の周りか右回り、左回りにマッサージ。
4. 手のひら全体で、顔全体を洗顔の覆うにマッサージ。
太陽というツボか意識します。
5. 前頭部から頭頂部、後頭部、後頭部にかけて、髪を梳くようにマッサージ。
天柱、風池というツボを意識します。
マッサージは2,3回づつ、力は入れず、ただなでるように行ないます。
当治療室では終わりにこのマッサージのような鍼をしています。
日の周りは気の滞りやすいところで、その滞りをとると脈の流れがぐんとよくなります。
そのことからも、このマッサージが全身にもいいことがよくわかります。
こうしたケアをなさって、眼鏡のいらない人生を送られてみてはいかがでしょうか。
皆様はお身体を上手に使っておられますでしょうか。
身体を上手に使っているかどうかのチェックポイントのひとつに、『腋がしまっているか」という点があります。
無駄な力が抜けてリラックスできているかをチェックできるのです。
ピアノを弾く時も、ゴルフをする時も「腋をしめろ」と指導されることでしょう。
パソコンのキーボードをたたく時も、包丁で切る時も、 字を書く時だってそうです。
何をする時でも「腋がしまっている』ことが大切です。
『腋をしめろ』というと力をいれてしめる方もおられますが、そうじゃなくて、腕や屑の力が抜けて重力により腋が自然にしまる状態がいいのです。
逆に腋があいている時は腕や肩に無駄に力が入っています。
腋がしまっていると、肘が身体の正中に近づき、全体の重心が中心に近づきます。
そうすると動作はすばやく正確で、美しく疲れにくいものとなります。
この『腋のしまる』状態では自然と小指に意識がおかれ、重点がおかれるようになります。
ゴルフでも剣道でもテニスでも小指が大切なわけですね。
一度動作時に腋がしまっているかをチェックしてみてはいかがでしょうか。
当治療室の大きな特徴は、はりがくないことと、何回も脈を診るということしょう。
なぜ痛くないのかについては、以に書きましたので、今回は脈について書いてみようと思います。
おそらく、皆様も「なてしつこく脈を診るのだろう」と感じておれることと思います。
私自身もそう思うまでは、脈をみて何がわかるのでしょう。
一言でいいますと、身体の中の気の状態を診ています。
たとえば、脈がはやかったら体のどこかに熱があるということ(つまり際に発熱しているとか、膝が腫れて熱をもているとか)が、また、キンキンと堅くて張した脈のときにはきつい痛みがある、ということがわかります。
他にも、こうした細としたことはいっぱいありますが、ごく単純にいいますと、脈に硬いところがあれば、ある場所で気や血が滞っていることをあらわしていますし、力なくフニャフニャであれば気や血が消耗していることをあらわしてるといえるのです。
さて、脈を指三本で診ていますが、こうした硬いところ、力ないところがいりまじり脈はでこぼこになっているのです。
このでこぼこな脈を鍼を用いて気を調整することにより、まっすぐにスムーズに充実感をもって流れるようにしています。
まず力にないところに気を補って充実させ流れをよくしてから、次に硬い部分の気の滞りを取っています。
こうして脈が整いますとあら不思議身体全体の気の流れが整っていくのです。
そして自然治癒力がきちんと発揮される身体へと変化していきます。
このように書きますと、背骨を整えていく整体やカイロプラクティックと少しイメージが重なりますね。
ちなみに鍼治療でも背骨は整いまっすぐになっていきますよ。
東洋医学の不思議な考え方のひとつに、「部分に全体が宿る」といったものがあります。
具体的にいえば、足裏をみれば全身のことがわかるといったことです。
耳も全身のことがわかるといわれています。
耳は「胎児が逆さまの形で人体の各器官が投影されている」といわれ、耳たぶを頭として、耳を胎児のようにみたてて、身体の各部分をあてはめていくようです。
もっとも足裏も耳も、私は専門でなく詳しくはわからないのですけれども。
図をご参考にしてください。
また、腹もそうで、次のような図が伝えられています。太い線が腹の輪郭です。
このように全身を割りふっています。
この図もなかなか興味深く、実際腰が痛いときは臍の周辺に、五十肩のときは季肋部に反応の出るものです。
このようにある部分から全体のことを推し量ることができます。
脈もそうで、手首の脈に全身の状態が投影されていると考えています。
脈の都合、なかなか図にはかけないのですが、手首に近いほうが頭で、肘に近いほうが下半身をあらわします。
また、脈の表面は身体の表面を、深い部分は身体の深部をあらわしています。
こうして脈のどの部分に硬いところがあるのか、流れの悪いところがあるか、などを診ていきます。
こうした見方もしながら、皆様の全身をとらえていっています。