6. 眼精疲労について


「眼が疲れる」とおっしゃる方がたくさんおられます。
今の世の中、パソコンやテレビ、書物や新聞等の影響で、眼を酷使する傾向にあるのでしょう。

ところで、「疲れ目」と『眼精疲労』とは別物だそうです。
皆様はご存知でしたでしようか。
眼科医の坪井隆先生によりますと、『「疲れ目」の医字用語は「眼疲労」であり、症状が目だけにとどまり、しばらく目をやすめれば回復するもの」を いうそうです。
「それに対して眼精疲労は、日を休めてもなかなか回復しないがんこな病気であるとともに、全身にもさまざまな症状を起こす』とおっしゃっています。
眼精疲労の症状としては、
「光がまぶしい、日がチカチカする、目がかすむ、目の奥が痛む、目がかゆい、 まばたきがふえる、まぶたがピクピクする、 同が乾いて痛む(ドライアイ)、 目の充血と周囲の腫れ」などであり、やがて、
「肩こり、頭痛・頭重、全身倦怠感、集中力や持続力の低下、 食欲不振、吐きけ、 不眠、イライラ、うつ」などの全身の症状か出てきます。
ついでですが「眼精疲労の患者が眼科を訪れても、多くの場合、実のある治療は受けられないのが現状です。」ともお書きです。
ちなみに、当治療室には「目がチカチカする、 目の奥が痛む、まぷたがピクピクする」と訴えられる方がたくさんおみえになり、大変喜んでいただいております。
話しを戻しますが、このように休めれば回復するものを「眼疲労」といい、休めても回復していかない、全身に症状のあるものを「眼精疲労」というようです。

では、なぜやすめても回復していかないのでしょうか。
答えは簡単です。全身的にバランスを崩していて、自然治癒カがきちんと働かない状態になっているからです。
だから全身的にも症状がでてくるのです。
このあたりのことを、やはり眼科医の山口康三先生は次のようにお書きです。
「過食や栄養過多の食生活、運動不足、過剰なストレスなどによって血液がドロドロになれば、目の血液の循環も、当然、悪くなります。血液の循環が悪くなれば、酸素や栄養が十分に行き渡らず、毒素や老廃物か回収されません。これでは、目は健康を維持することはできないでしょう」と。
そのうえで、「目の難病の多くは、偏った生活習慣によって発症する、生活習慣病だと考えています。
生活習慣病は、いわぱ全身病です。
たまたまその人の体のなかで、目に異常が現れただけであってその背景には全身の異常があると考えられるのです。」とおっしやっています。
このように目の症状にも全身のバランスを調えていくことが大切なのです。

もうひとつ頭に置いておきたいのは、目の調節は筋肉が行なっているということです。
目に入る光の調節は虹彩にある筋肉が、遠近の視力の腕節は毛様体にある筋肉が水晶体の厚さを変えて行なっています。
皆様もご存知のように、筋肉というのは使わなければ硬くなってしまいます。
この場合の筋肉を使うとは、虹彩の筋肉の場合は明るいところと暗いところを交互に見ること、毛様体の筋肉の場合は遠いところと近いところを交互に見ることをいいます。
こうした運動をすることが日には大切です。
振り返ってみてください。現代では、暗闇を目を凝らして見ることがあまりないでしょうし、遠方を見ることもあまりなくなっているでしょう。
これが目の筋肉の運動不足を招いているのです。
さて、東洋医学の眼の治療では、血液を増やし、 血流をよくすることに主眼を置いています。
これは先の山口先生の意見とも一致します。
また、筋肉を正常に働かせるにはたっぷりの血液が必要なのです。
皆様も血行がよくなるように、ご自分でケアをなさると、目にもよく、肩凝りもなく(楽に)すごせると思いますよ。